モルモットから人にうつる病気(人獣共通感染症、動物由来感染症、ズーノーシス)にはどんなものがあるでしょうか。
代表的なものとしては、サルモネラ症、皮膚糸状菌症(白癬)、仮性結核菌症(エルシニア)などがあります。
他にもパスツレラ症、レプトスピラ症、疥癬症、ノミ刺虫症etcがありますが、まずは比較的多くみられる前者3つをよく理解しておくことが大切です。
サルモネラ症
サルモネラ症の原因菌(細菌)はSalmonella enteritidisおよびSalmonella typhimuriumです。多くの野生動物やモルモットを含むペットは常在菌として腸内にこの病原菌を持っていることがあります。
モルモットは感染していても症状が出ない(不顕性感染)ことが多く、出ても比較的軽微なため、意外と気がつかないことが多いです。
症状としてよくみられるのは流産や下痢、まれに結膜炎の症状がみられます。
人への感染は、サルモネラ菌を持ったモルモットの糞便で汚染されたものを手で触り、その手を洗わずにものを食べたり、口を触ったりして感染します。
人での症状は悪心、嘔吐、腹痛で始まり、その後38℃前後まで発熱し、下痢を繰り返します。小さいお子さんや高齢の方では、菌血症を起こすなど重症化しやすいので注意が必要です。
皮膚糸状菌症(白癬)
皮膚糸状菌症は真菌=カビ(毛そう白癬菌、小胞子菌等)によって発症する皮膚病です。
原因菌はTrichophyton mentagrophytesです。
代表的な症状はフケの増加、痒がるといった症状から、円形脱毛、肥厚したかさぶたなども見られます。主に、手足や顔、背中に症状があらわれやすいです。テディ種が比較的感染しやすいと言われています。
人への感染は、病気を持ったモルモットに直接触れることで起こります。
濃厚接触をやめ、こまめに手洗いすること、モルモットの飼育環境を清潔にすることをこころがけましょう。
当然ですが、モルモットの治療は動物病院でしっかりやってもらってくださいね。
また、皮膚糸状菌症は犬や猫、ウサギなどの動物にも感染します。感染したモルモットから他の動物へ感染しないように、また逆に、皮膚糸状菌に感染した他の動物からモルモットへ感染しないように十分注意してくださいね。
仮性結核菌症(エルシニア)
原因菌Yersinia pseudotuberculosisによる主に呼吸器がやられる疾患です。
犬や猫、家畜などは保菌動物ですが感染症状はあまりみられません。ところが、モルモットの場合は感染があると敗血症で急死する例が報告されています。
気になる症状が見られたら、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
人への感染はサルモネラと同じようにエルシニアに感染したモルモットの糞便で汚染されたものを手で触り、その手を洗わずにものを食べたり、口を触ったりして感染します。
モルモットを飼っていて体調がすぐれないと感じたら早めに病院でみてもらうようにしましょう。
その他
モルモットからうつる病気というわけではありませんが、気をつけておきたいものに「モルモットアレルギー」があります。
モルモットの毛や上皮(フケなど)を吸い込むことで起こるモルモット自体に対するアレルギーだけでなく、牧草などイネ科の植物に対するアレルギーなども起こりうるのでちょっとやっかいですね。
症状の出方や程度は人によってまちまちです。アレルギー症状が重い場合は牧草の見直しが必要かもしれませんし、場合によってはモルモットの飼育自体をあきらめなければならないかもしれません。
体調がすぐれないようなら、何のアレルギーなのか、あるいはアレルギー以外の病気なのか、早めに病院で検査してもらうとよいでしょう。
まとめ
モルモットから人にうつる病気(人獣共通感染症、動物由来感染症、ズーノーシス)の代表的なものとしては、サルモネラ症、皮膚糸状菌症(白癬)、仮性結核菌症(エルシニア)などがあります。また、感染症以外にも注意するものとしてアレルギーがあります。調子が良くないと感じたら、はやめに病院でみてもらうようにしましょう。