モルモットに与えるペレットはどれくらいが適量なの?

モルモットには牧草とペレットと生野菜をバランスよく与えるのが良い、ということは一般的に知られています。では一体どれくらいのペレットをあげればいいのか、という話になると大体「適量」というちょっと曖昧な表現で説明されるケースが多いですよね。

今回はモルモットに与えるペレットの適量についてお話させていただきます。

その前にまずモルモットの消化機能について理解しておきましょう。

モルモットは後腸発酵動物

モルモットは完全な草食動物です。

草食動物は体内に棲む微生物(腸内細菌他)の作用によって草を発酵分解させて消化吸収していますが、この微生物が棲息している場所が胃にあれば前胃発酵動物と呼ばれ、ウシやヒツジ、ヤギなどの反芻動物(はんすうどぶつとは、一度飲み込んだ食べ物を再び□の中に戻して、再咀嚼すること)がそれにあたります。

これに対して、モルモットやウサギ、ウマなどは微生物が大腸付近に棲息しているので後腸発酵動物と呼ばれます。

モルモットの大腸は栄養源を作る

モルモットの盲腸はとても大きく(腹腔の約1/3の大きさ)、よく発達しています。

盲腸および結腸の中には腸内細菌などの微生物がたくさん棲息しており、モルモットが食べた繊維はそれらの働きで分解されます。

分解された繊維は酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸(草食動物にとってはエネルギー源、健康維持に欠かせないもの)やビタミンB群、蛋白質などの栄養源になり、みずみずしい小さな便(盲腸便)として排泄されます。

盲腸便は排泄と同時に食糞という形で摂取されてしまうので、通常私たちが目にすることはほとんどありません。モルモットが肛門に直接くちをつけて何かを食べているような仕草をしているときはおそらく食糞をしている最中だと思われますが、この行為も夜間に行われることの方が多いので、あまり目にすることがないかもしれません。

モルモットの大腸のユニークな特徴

モルモットの結腸と盲腸の関係はとてもユニークです。

通常は結腸から盲腸へ内容物の移動は起きないのですが、モルモットは特殊なメカニズムで結腸の中の微生物の一部が盲腸へ逆送されるのです。

どういうことかというと、モルモットの盲腸には結腸から常に新しい微生物(働き手)が送り込まれるので、いつも元気よく繊維を分解発酵する仕事をやってくれるということです。

さらに、盲腸は特殊な構造になっていて、盲腸の内容物は分離することなくよく攪拌された状態になっています。これはウサギの盲腸とは異なるモルモットならではの特殊構造です。

モルモットにとって大切なのは繊維質

モルモットが食べたものはモルモット自身の栄養になるわけですが、その大事な栄養源を作り出しているのは大腸内の微生物です。

つまり、モルモットが食べたものは微生物にとってもエサなのです。モルモットがしっかり繊維を食べてくれなければそれをエサにしている微生物にとっては大問題です。

ここでもし繊維質が少なく、蛋白質・脂肪・炭水化物などが多いごはんをモルモットが食べたとしたら、大腸内の微生物は混乱し、異常発酵をおこし、善玉菌の減少、悪玉菌の増加という問題が出てきます。

モルモットが繊維をしっかり食べるか否かはモルモットの健康に深く関係してくるのです。

ペレットと牧草 繊維質含有量の比較

最も大事な繊維質の含有量で比べてみると、牧草(チモシー)が大体29~36%くらい、一般的なペレット(今回はモルモットセレクションを例にとってみました)が22%以下となっています。

ペレットはいろいろな種類の牧草が原料として入っているので、ちゃんとしたメーカーのものであれば繊維質はそれなりにしっかり含まれていますが、それでも牧草に比べると少ないのです。

タンパク質や脂肪はペレットの方が牧草よりも多く含まれているので、ペレットばかり食べていると大腸の微生物にとって良くないことはこれまでの説明でおわかりいただけると思います。

アメリカの動物病院における食餌指導

アメリカ在住の知人の話によると、あちらの動物病院ではモルモットの食餌指導で、ペレットは全体の10%以下にするよう指示されるそうです。

これは牧草以外のものを全部合わせて10%程度にするということで、つまりペレットや野菜のトータルが10%くらいという意味なんだそうです。

牧草90%に対して、ペレット、野菜、果物、おやつ類で10%、これが黄金比率なのでしょうか。

確かに、繊維質がもっとも重要だというモルモットの消化のメカニズムを知ると、ペレットをたくさんあげるのはNGだと理解できますよね。

管理人はこの話を聞いて以来、ペレットは全体の10%以下、というのを守っています。モルさんの状態はすこぶる良好です。

まとめ

モルモットは完全な草食動物で後腸発酵動物です。大腸に棲息する微生物(腸内細菌他)の働きにより繊維質を分解発酵して酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸(草食動物にとってはエネルギー源、健康維持に欠かせないもの)やビタミンB群、蛋白質などの栄養源を作り出します。これらの栄養源は食糞により摂取されます。繊維質が少なく、蛋白質・脂肪・炭水化物などが多いごはんをモルモットが食べたとしたら、大腸内の微生物は混乱し、異常発酵をおこし、善玉菌の減少、悪玉菌の増加という問題が出てきます。繊維質をしっかり摂ることはモルモットの健康維持に不可欠です。アメリカの動物病院では繊維質をしっかり摂るために、牧草90%とそれ以外(ペレット、野菜、果物、おやつ類)で10%という食餌指導をしています。

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