モルモットとウサギは一緒に飼育できるの?

ふれあい動物園などでモルモットとウサギが同じ場所で展示・飼育されているのを見ることがあります。仲良く寄り添っている姿を見るのはとても可愛らしく微笑ましいのですが、普通の家庭で同居させることは果たして可能なのでしょうか。

結論から先に述べると・・・

一緒に飼育するのはNGだと思ってください。

理由はいくつかあります。ひとつはモルモットとウサギは異種動物であって、仮に穏やかに生活出来たとしてもそれはお互いが無関心なだけで、通常は「なかよく遊ぶ」というような関係にはなりません。絶対に仲良くならないとは言い切れませんが、そういう関係は非常にまれだと思った方が良いでしょう。

理由の2つ目は、モルモットとウサギではごはんの内容が少々異なります。別々に食器を用意してもそれぞれが自分用のごはんをちゃんと食べてくれるかどうかわかりません。モルモット用にビタミンCを強化したごはんをウサギが食べてしまうことだって十分ありえます。

理由の3つ目は、ウサギにとっては大きな問題となることが少ないある細菌が、モルモットにとっては大変な問題になるからです。その細菌に関しては次の項でお話します。

ウサギからモルモットにうつる細菌とは?

ほとんどのウサギには、ボルデテラ菌(気管支敗血症菌:Bordetella bronchiseptica)という細菌が無症状のまま鼻腔内に存在しています。ウサギにとってのボルデテラ菌は、パスツレラ菌との兼ね合いで呼吸器感染症を引き起こすこともありますが、通常は大きな問題となる菌ではありません。

ところが、このボルデテラ菌、モルモットに感染すると重篤化してしまう場合があります。もちろん、感染するかしないかはその個体の健康状態や状況にもよりますし、一概には言えません。しかしながら、モルモットは他の動物と比べると感染に対してとても弱いことは昔からわかっており、そのために病気の診断などに利用されていた経緯があります。他の動物では局所感染症で済むくらいのことが全身性になってしまうことがあるのがモルモットなのです。

ウサギからボルデテラ菌をもらってしまう危険性を考えると、モルモットとウサギを同居させるのはやめた方が良いでしょう。

ウサギからモルモットにどうやってうつるの?

最も考えられるのは接触感染です。クシャミや鼻汁などの飛沫感染もあるでしょう。質量の軽いウイルスのような空気感染は考えにくいので、別々のケージで2メートルくらい間をあけることができれば同じ室内でも飼育は可能でしょう。ただし、いろいろなリスクを考えると出来れば別々の部屋で管理したいところです。

モルモットがボルデテラ菌に感染するとどうなるの?

ボルデテラ菌はモルモットの鼻腔に入り込み、鼻からのど、気管支から肺へ行き、感染後約1~2週間で化膿性気管支肺炎をはじめとする病変がみられるようになります。呼吸困難や食欲低下などの症状もみられ、若いモルモットの場合は重症化することが多く、死に至る可能性も高いです。

治療は抗生物質の投与、支持療法として気管支拡張剤、消炎剤などの投与や点滴、あるいはネブライザーなどの吸入療法を行います。詳しくは動物病院へお尋ねください。

ふれあい動物園で一緒に展示されているけど?

動物園などでは通常は一緒にする前に検疫期間を設けていたりします。新たに持ち込む動物が健康であること(感染症のリスクがないこと)を確認してから合流させるのが一般的です。

場合によっては、あらかじめ抗生物質を投与して保菌量を減少させておくなど、さまざまなリスク回避をおこなっているのかもしれません。

まとめ

モルモットとウサギが仲よく寄り添ってる姿はとても可愛いのですが、異種動物であることやごはんの管理が難しいこと、ボレデテラ菌のリスクがあることなどを考えると、特別な理由がない限りは同居させるのはやめた方が賢明でしょう。

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