モルモットは完全草食動物です。基本的に植物および植物性のものしか食べません。最も重要な栄養素は繊維質。食べてとり込んだ食物繊維が腸内細菌によって分解され、盲腸でVFA(揮発性脂肪酸)となり、それがモルモットのエネルギー源になります。では繊維質はどれくらい摂ればいいのでしょうか。繊維質以外の栄養素と合わせて以下にまとめてみました。
繊維質
モルモットの腸は長く大きく、その繊維質消化能力はウサギよりも高く、一説によると馬やポニーに匹敵するほどだそうです。
繊維質はその腸の健康を維持するのに必要であり、そこから作り出されるVFA(揮発性脂肪酸)はモルモットにとって大事なエネルギー源です。
通常は牧草(チモシー:繊維質含有量は大体29~36%)をたくさん与えていれば問題はありません。ペレットを選ぶときも最低でも15%以上は繊維質を含むものを与えましょう。
※VFA(揮発性脂肪酸)とは、モルモットなどの草食動物が食べた繊維質を腸内細菌が分解して作り出した酢酸、プロピオン酸、酪酸のことをいいます。草食動物にとってはエネルギー源であり、健康維持に欠かせないものです。
脂肪
モルモットにも少量の脂肪は必要です。それはリノール酸とリノレン酸です。通常はペレットの中に含まれているので敢えて与える必要はありません。約1~3%含まれていれば十分です
タンパク質
筋肉や細胞を作り維持するのに必要な栄養素です。モルモットはすべて植物性タンパク質から筋肉や細胞を作り出します。
ペレットを選ぶ時は植物性タンパク質が17~18%くらいのものがおすすめです。また、タンパク質は盲腸糞(食べる糞)にも含まれています。
炭水化物
モルモットに食物繊維以外の炭水化物(糖質)を敢えて与える必要はありません。それどころか、与えすぎると腸内で異常発酵を起こし、盲腸の中で病原微生物が増加してしまい、最悪の場合は腸毒素血症で急死する恐れがあります。
市販のモルモット用のおやつは多くが主成分は小麦などのでんぷんです。なるべく与えない方がいいでしょう。最近ではペレットもグルテンフリーのものが多くなってきています。
ビタミンC
モルモットは体内でビタミンCを合成できない動物です。食べ物で補給しなければなりません。おおよそ体重1kgあたり15~20mgが1日に必要なビタミンCの量です。妊娠中や授乳中はこの2倍以上(30mg以上)の量を与えましょう。
ビタミンCは血管や皮膚、粘膜、骨を作るのに必要です。ビタミンCをしっかり補給することで病気になりにくい体になります。
ミネラル
大事なミネラルはカルシウムとマグネシウムですが、中でも重要なのはカルシウムです。
モルモットはウサギと同様カルシウムの代謝は独特です。
モルモットやウサギ以外の多くの哺乳動物は、カルシウムが腸で吸収される際、体内のビタミンDやパラソルモン、カルシトニンといった特別なホルモンの相互作用によって吸収を調節(血中カルシウム濃度を調節)しています。
しかし、モルモットとウサギにはこういったカルシウム調節機能はないと考えられています。食餌中のカルシウムの量が多ければ血中濃度は増加し、過剰分は尿中に排泄されます。
カルシウムの摂り過ぎは尿中のカルシウムの増加、ひいては膀胱結石の原因になります。
その他
ビタミンB群の一部はモルモットの体内で作られ、盲腸糞とともに排泄されます。モルモットは食糞という形でそれらを摂取します。
盲腸糞が食べられないような状況ではビタミンCと同じように食べ物や薬、サプリメントなどで外からビタミンB群を与える必要があります。
他の必要なビタミン類は野菜やペレットから摂取できるようしっかり管理してあげましょう。
水について
栄養素というわけではありませんが、モルモットにとって水はとても大切です。他のげっ歯類にくらべて水を多く必要とします。モルモットが必要とする水の1日の量は体重1kgあたり約100mlです。生野菜や生牧草を多く食べた時は飲水量は減ります。
ただし、飲水量には個体差があるので、日々の観察でその子の平均的な飲水量をしっかり見極めることが大切です。
まとめ
モルモットにとって繊維質はもっとも重要な栄養素です。繊維質は腸内細菌によって分解され、盲腸でVFA(揮発性脂肪酸)となり、それがモルモットのエネルギー源になります。
リノール酸とリノレン酸などの脂肪も必要ですが、それらはペレットで十分摂取できます。タンパク質は植物性のものだけでOKです。炭水化物は与える必要はありません。
ビタミンCは補給しなければなりませんが、ビタミンB群の一部は体内で作られ盲腸糞として摂取されます。
カルシウムの過剰摂取は尿結石の原因になるので注意しましょう。